眠れない夜
麻生ゆり
眠れない夜は、本当に、孤独を誘う。
世界に、自分ひとりしかいないのではないか、
あるいは、
世界から、自分ひとり見捨てられたのではないか、
と、錯覚させるから。
だけど、この寂しさひとつ
乗り越えられなくて、
どうやって、これから先生きていける?
待ちうける暗闇の落とし穴を
どうやって、乗り越えればいいのだろう?
今日も、私の一部が
闇に、のまれた。
取り返したくて、ひとり、立ち止まる。
ああ。
また、あの月が嗤う。
ふりきりたくて、逃れたくて、
それでも、あの時のまま、何も変わっていないんだ。
繰り返し、日々を過ごしたのに。
また、朝がくる。
そして、次の震える夜がくる。
隣で眠る人の温もりに触れても
心は、どこか寒く
今日も
眠れない。