朝
もも うさぎ
大地が 少し 揺れた
ここはパリなので
それは夢だと分かった
モノクロのカーテンの幕が
ゆっくりあがるように
日を目覚めさせる そういう揺れだ
意識の向こうに
黒く流れる髪のすじを
その睫毛を 手の熱さを 見つけて
目を開きたいのをこらえて
意地でもそこに しがみつこうとした
あたしの意志とは関係なく
夜の長さは決まる
感覚は研ぎ澄まされ
むせぶその匂いに 鼻をこすりつけて
空と海のような関係を結んだ
その体温に 身をうずめて
時間の火を ほとばしらせた
一瞬で
夜は 終わる
白んだ光りの中には
白いシーツと あたしの体だけ
今日も早く眼を開きすぎたのだ、と
祈るように 気づく
〜朝〜
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