レイニー
アヅサ

お風呂場にふった雨
バスタブに溜まった銀の雨
消えかけていたばらの芽が
音もたてずに開く とき


窓をすべる雨粒が
不機嫌な猫を起こしてしまって
引っかかれた夏空は
静かに笑って ひっそり泣いて
雨はいっそう強くなる


びしょ濡れの六月に
指輪をなくした花嫁は
ケーキを切ったナイフで 青い海を
溶け落ちる青い空のはしを
こっそり切り裂いて
雨はいっそう強くなる


自由詩 レイニー Copyright アヅサ 2007-06-22 20:52:57
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