雨をみていた
石瀬琳々

透き通るガラスの惑い指でなぞり
    雨をみていた心おちいて


白い足走り去る朝つかのまの
    雨をみていた虹を待つまま


紫陽花の肌の静けさこぼれゆく
    雨をみていたぬるい午睡は


人いつか帰り支度の傘の波
    雨をみていた夕べは遠く


街はいま水音流る夜の底
    雨をみていた雨を知っていた




短歌 雨をみていた Copyright 石瀬琳々 2007-06-22 14:21:08
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薊道