鳴き声
たけ いたけ

洗濯機がぐるぐる渦を巻く
三角定規とおにぎりと三角ポールが遊んでいる

ぐるぐる
  ぐるぐる ぐる

規則的な息継ぎかと思えば裏切る
裏切りを楽しむように遊んでいる
水面は影と光を映している
(太陽は全てに影と光を与える)

洗濯機の渦の中で
鳥の声がする
空を見上げると一羽もいない
鳥の声がする
水面

ぐるぐる
   ぐるぐる  ぐぐる

の中の鳥の鳴き声を号令に
ほうれん草が溶けてみるみる青い部分が広がり
晴天の一点から闇夜が始まり
洗濯機の渦からは幾つも若い芽が顔を出す


(何時か見た光景)

  午後三時の鐘が鳴り
  ごっそりと鳩の羽毛が抜け落ちる夢があった


ガ ガ ガ
 ガ ガ ガ


洗濯機は無駄なものを削ぎ落としている
誇大な計画は一瞬にして散った
すぐさま紫色の大きな鳥が円の中へ飛び込む
そこは【魅惑の在り処】なのだ

そら 芽は伸び
草になった
(太陽を宿している)

ぐるぐる
  ぐぐる ぐる ぐる

ぐるぐる
 ぐるぐる ぐるる ぐぐる

桜吹雪とシャンデリアと弾道ミサイルの関係を暴き
シャッターを切りまくる植え込みの奥
活火山が溶岩を吐き
膿が全て流れ出す
まず人が死に 芽が育ち 鳥が啄み 渦に落下していく
描いた曼荼羅を飲み込んでいく渦と
そこから突き出る欲求と生命と
30カラットとメビウスとパレット
渦巻く熱は目に見えぬ誰にも知られない
(静かなものだ)

根無し草の安定を底辺から見ていく
サルの顔に赤マジックの落書き


赤マジックの落書き





自由詩 鳴き声 Copyright たけ いたけ 2007-06-22 13:46:55
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