小説『Is it no use crying over spilt milk?』(6)

実は今日、既に曲は完成していた。

聞かせてあげる事も出来たのだが今朝見た天気予報によると明日は雪。なんとなく、初めての曲は雪の中でデビューさせたい気がしたのだ。

もし積もったら去年のように雪だるまを作ろう。そしてその横で演奏するのだ。

自分も来年で大学四年、将来の事を考えていかなければならない。

就職活動なんてしていないし大学の単位も殆どギリギリだが、明日先輩に曲を聞いてもらえればきっと、何かが変わるような気がした。


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足取りが重い。
急な仕事が入ってしまい、約束の時間に会社を出ることができなかった。

時刻はもう七時、あたりは暗くなりはじめ彼女もそろそろ帰り支度をしているころだろう。
遅れるとメールで伝えたのだが返信がこない。彼女のお怒りももっともだ。
今朝から降り続いている雪のせいで何度も転びそうになった。
それにしても随分積もったものだ。これだけの雪があれば彼女が雪だるまを作っているのは間違いない。手伝ってあげられなかったのが悔しかった。

いつもの場所まであと少し、遅れてしまった言い訳を頭の中で何通りか思い浮かべる。仕事だから仕方がないとはいってもこの埋め合わせはしなければなるまい。


散文(批評随筆小説等) 小説『Is it no use crying over spilt milk?』(6) Copyright  2007-06-21 20:29:30
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