列車
iloha



色褪せた壁に守られている
懐かしい匂い
ぼくはその匂いをかみしめながら
坂を駆け上る。
水びたしのカフェが
あなたと出会ったテーブルに
傷痕を残す
何かといえば
鉄塔がさえぎる未来
電線が導く現在
ミニチュアの昨日
避けられない政治のトンネルを
くぐるのはきみ
だからもう
突き上げるリズムに
問いかけることをやめないで
一日のうちのほんの一時間が
ぼくの世界を作っている
そのときにこそ
電線が導く言葉
緑の列車が運ぶ未来
十二年前のキスの感触
紅茶の海に飛び込んで
抱き合うきみと僕を
突き抜ける太陽風のノイズ



自由詩 列車 Copyright iloha 2007-06-20 23:56:20縦
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