ちゃいろい
花平すり
古本屋の中で
眠ってた
本を抱いて
それは湿気ていて
暖かかった
店番の
おじいさんは
お弁当を食べていて
たまに
お茶をずずーっと
すする音
幼稚園から
逃げ出してきた鶏が
ぼくのまえを
こつこつ歩いていた
おじいさんは
お弁当を食べ終わって
電話で
昔話をしている
ぼくは
本を枕みたいに抱いたまま
おじいさんの
昔話をきいていた
鶏も
たぶん、きいていた
自由詩
ちゃいろい
Copyright
花平すり
2007-06-19 23:27:59