奴らを高く吊るして
atsuchan69

赤く錆びた鐵骨マエの死体から
頭でっかちの奴らが、ふたたび湧き出す
怒涛のごとく押し寄せる攻撃は、日に二度ほど
きまって朝と夕 規則正しくやってくる

その、ぶよぶよした肌に刀を突き刺すと
高濃度のガクシューを含んだ体液が噴出し、
 ひ、ひひょー!」
ギギと呼ばれる奴らは悲鳴をあげ
つい、さっきまでの驕り高ぶった態度とは裏腹に
とつぜん土下座までして命乞いをする

かつて私は、妻や子を奴らに 殺された

そうそう簡単に死んでもらっては困る
まずは目玉を刳りぬき、視界を奪った上で
じっくり、あの恐るべき詩を 朗読するのだ

 「ふん。――唱えるのは貴様だ! 
 微塵も間違わずに、私に復唱せよ

 お前が嘲笑った言葉に一言たりとも誤るな

試みに指の爪を一枚剥がし、
その痛みを覚えさせてやろう

腐った想いと ぶよぶよした顔に
 (おまえ自身の怒りと哀しみを)
さも美しく表現してみろ、と笑ってやる

しかし奴らは人に化けて集団でやって来る

巨大な鐵骨マエの死体から湧き出た大勢が
女、子供たちを標的に 容赦なく弱者を襲う
日没にまじった透明な死の匂いとともに
涎を垂らした「ぶよぶよ」がバキバキと人骨を齧る
ガソリンをぶっかけて火をつけろ!
その悶え苦しむ姿を、明日の朝――
ふたたび湧き出す奴らのために夜通し燃やし、
 ひ、ひひょー!」と叫ぶ
ギギども全員に見せつけてやれ
そうだ、奴らを一匹ずつ、一匹ずつ殺せ。
穴に籠った奴らの顎へ 肉鉤を掛けろ、
鎖で吊るせ、呪われた古の詩を朗読せよ!

そう、この戦いは、まるでパルティアとローマだ
奴らは逃げ廻りながらも、けして負けなかった

永遠なる子供たち――
干して乾いたギギの肉を千切って食べるがよい
朝早く、きっと また奴らはやって来る
だから明日のために もう眠りなさい

そして瞼を閉じるまえに・・・・

 「ご覧、
 男たちが 奴らを高く吊るして
 焼け爛れた空を眺めては 今日の勝利に酔っている

 おやすみ、つよい子たち

奴らの屍が ぶらぶらと風に揺れているよ










自由詩 奴らを高く吊るして Copyright atsuchan69 2007-06-19 12:15:55
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