20P 「短歌2」より 昭和四十六年
むさこ
忘れ物思い出し歩を返し言う
独りごと人に聞かれし居しかも
凍る朝素足に草鞋の修行僧
声あげ行くに襟正したり
断絶と言わるる代に独り居の姑に
電話をすれば風邪ひき
家の建つ前を通るに口あけて
見上げてゐたり痴呆の如く
感激もなき日日にして目の前に
糸を伝いて蜘蛛がおりたつ
短歌
20P 「短歌2」より 昭和四十六年
Copyright
むさこ
2007-06-18 20:40:57
縦