午後と双輪
木立 悟




木陰の雨雲
水を囲む
鈍の唱の輪
空を招く


海わたる羽
波に残る羽
ただよい ただよい
舟をつくる指に出会う


空に沈む手
水と同じ手
そのままを描く
渦を描く


数え切れない布の手のひら
午後を隠して飛びつづけ
かがやきと笑みのにおいを残し
木陰はしんとしずまりかえる


鈍めぐる鈍
鈴の森
まなざしを昇る
ひとつの葉


常に常に蒼へ向かい
奏でられる縦の迷路
終わり生まれる
はじまりの小舟


空をすぎる影のすべてが
ひとつの樹から降るもののように
かけらのかたちにまたたきながら
水と唱の輪に重なりつづける















自由詩 午後と双輪 Copyright 木立 悟 2007-06-18 15:48:10
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