午後と双輪
木立 悟
木陰の雨雲
水を囲む
鈍の唱の輪
空を招く
海わたる羽
波に残る羽
ただよい ただよい
舟をつくる指に出会う
空に沈む手
水と同じ手
そのままを描く
渦を描く
数え切れない布の手のひら
午後を隠して飛びつづけ
かがやきと笑みのにおいを残し
木陰はしんとしずまりかえる
鈍めぐる鈍
鈴の森
まなざしを昇る
ひとつの葉
常に常に蒼へ向かい
奏でられる縦の迷路
終わり生まれる
はじまりの小舟
空をすぎる影のすべてが
ひとつの樹から降るもののように
かけらのかたちにまたたきながら
水と唱の輪に重なりつづける