かや

薄桃色の花は手のひら
包んだ途端灰に変わって
冷たい風に
さらわれてゆきました
どこか見知らぬ街の
誰かの頬をざらりとかすめて
ほんの小さな
でも確実の
いたみを芽生えさせました

歩むべき道は
一歩踏み違えば
あっという間に霧に隠され
そうと知っていたのに
そっぽを向かせた靴先の
横切る蝶を 濡れた月を
映す瞳が淋しげに見え
大きな緑葉が笑っています
いくぢなしの肩越しに

夢見たかっただけなのですと
ほんの小さな
でも確実の
涙の代わりの呟きでした




自由詩Copyright かや 2007-06-17 22:21:12
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