即興情熱
rabbitfighter
足元の道をたどればそのうちどこかに行き着くのだろう
歩け
雑音に音楽を見出すのなら偶然は必然になる
トリートメント
手のひらに香油を摺りこんで神託を授かる
祭司階級に生まれたる者の宿命
日常はいらない 祈りだけでいい
タペストリー
論争を編みこむも縦糸が足りない
仕方なしに君は髪の毛を紡ぐ
そのしぐさが新しいと追従者は後を絶たない
やがて論争が一応の決着を見ると
どうせなら重なり合うほうがいいと君は言う
言葉はいらない そのほうがいい
ダッチワイフ
名前の由来はどうであれ
ともかく口にしてみるべきだ
大きな口のほうがいい 大は小をかねてはいるけど
選ぶのは君の自由だ ちょうどいいなんてことはなかなかない
かなしみ
どれだけ深くとも
あなたの方法は洗練されている
僕たちの情熱はいつも
あついまま静かに横たわる
初夏 道端
夕焼けに胸が押しつぶされて
君は僕を地平線の上で抱きしめる
ここにいっしょにいてくれてありがとう
何もかもが顕わになる
暮れる日の 薄暗がりの中で
まぶしすぎて見えなかったものたちすべてが
必然になる
今や僕たちは夜の中にいて
闇が満ちたのだと理解する
嘘や暴力や押し付けられた思想から
疎外された身体を取り戻した
夜はまた
君の姿を僕の目から奪うけど
この静けさにひそむひそやかな情熱は
まったく信じるに足りるだろう
まだ夜は明けない
祈りの夜 朝を待つ夜