ラムネ瓶
倉持 雛

あの時と変わらない
今日の空に
ラムネ瓶をかざしてみたら
緑色にぼやけた小さな粒を見つけた
 
 

 
 
暑くて眠れない夜に
夜中電話をした窓越しで
僕ら同じ星を見てるんだね
なんて ちょっとロマンチックなこと言って
次の日の同じ虫さされ箇所を
指さして笑い合った
 
 
夕方の海辺で
サンダルを脱いで
走りまわった
ワンピースの裾をつかんで
君を追いかけた
夕日が沈むその刹那に
そっと ふたり キスをした
 
 
おみやげ って
君が買ってきたラムネ瓶2本
喉を優しく刺激する感覚と
心地良い風鈴の音
ビー玉に夢中になっている君を
見つめている
その時間が好きだった
 
 

 
 
この緑色に
君の歪んだ笑顔が
見えたような気がした
 
炭酸水をそっと口に含むと
しゅぱしゅぱって弾けて
涙みたいな味がした
 
 


自由詩 ラムネ瓶 Copyright 倉持 雛 2007-06-17 00:52:19
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