手が届くことを疑わない無垢 
いねむり猫


天空から降りた一筋の糸
あるいは 
雑踏の中に聞き取る 一瞬のメロディー

能力さえあれば それをたどって
空を駆け上り 己の核心へ 
あるいは 命を揺さぶるメッセージへと
飛翔することができるはずなのに

たよりなくゆれる 
差し伸ばされた幼子の手

太くやわらかく 乳の臭いのするその手が
つかもうとするすべて
幼子の前の世界のすべて

つかもうとするものがあるという確信
母から開かれる世界のすべて

たどりついたとして
それが目指したものだと判るのだろうか

それでも手を差しのばす
その集中と確信

手が届くことを疑わない無垢




自由詩 手が届くことを疑わない無垢  Copyright いねむり猫 2007-06-16 22:22:25
notebook Home