一人寝の子守唄
アマル・シャタカ
昔
スコッチが傍らにあって
よく俺の話を聴いてくれたものだった
時には氷で返事して
盛り上がっちまうと
すべてを吐き出せる
そんな関係だった
ロックの多かった俺は
ことさらにお前を必要とした時期があったのも事実
氷で歪むライトの中に
世界を見て
すべてわかった気分になったことも
懐かしい思い出だ
琥珀のそれは
遠き日に溶けて消えた
自棄酒なんてことはしたくなくなって
知らぬ間にスコッチから離れた俺に
お前はもう答えてはくれない
今はただ
麦酒がときどき戯れにくる程度
気の抜けてしまう奴らのことだ
どうせ俺の話など
真剣に聴いてはいまい
もう涙で割って飲みたくはない
恨みで持って割りたくはない
せめて誰かを想うのならば
そう呟きながら
聴いてなどいない麦酒に語る
空いた抜け殻の缶たちが
渇いた音で俺を嗤った