夜
ふるる
夜がさらりと降りてくる
目覚めない
女の髪のような
さっきまで長く長く伸びていた影は
地面に溶けてしまった
あるく
あるく
よるのみちを
夜が満ちてゆく
そこここに
木も草も足も
すうと下がっていって
海の底におしりがつく
そんなふう
風も
水のようにゆるゆると
昼間隠れていた匂い
冷たくてやさしい
およぐ
およぐ
よるのみちを
ちいさくぷくぷくと浮かぶ
星はつかめる
つかんでも
つかんでも
泡
波紋ができて
雲がのいたら月ちらり
女のまぶたが微かに動く
自由詩
夜
Copyright
ふるる
2007-06-15 15:28:40
縦