夜と夜
木立 悟



草色の羽
水はじく羽
鈴の手を聴く
鈴を見る


夜と宵
光と声が
同じでいられる影のなかへ
指は撫でるように沈みゆく


荒れ野を見つめる
片目をふせる
はざまゆく風
岩はせる風


影のなか 声は重なる
水の光 つらなる光
唱のなか 無言のまま去る
緑の雨 涼やかな雨


指が指を連れてゆく
響きとともに 言葉とともに
影の外へ 
色はなつ石


くちびると影の無音の上を
鳥と夜はすぎてゆく
何かを言おうとするたびに
別の夜がさえぎってゆく


羽は羽を抱き 滴を包み
鈴を呑む鈴にまたたいて
雨の名残りの緑を越えて
夜と夜をまわりつづける














自由詩 夜と夜 Copyright 木立 悟 2007-06-14 16:07:04
notebook Home 戻る