初夏の
水町綜助

*プラットフォームから

色とりどりの屋根が遠く連なって
その上を目を細めてなめて
果てに一本の灯台を見つけて喘ぐ

夕刻でも陽は照りつけて
灯台は
小さく真っ白に
発光している

僕はそれを
プラットフォームから電車を待ちながら見つけて

何か冷たい飲み物が欲しい

みている

*歩いていったとして

そこは岬だといい
そこに冷たい青色が深く打ち寄せていればいい
カモメは鳴けばいい
岩が少しずつ
削られて行くように
死ぬから
僕は白い灯台の壁に真っ黒な影をうつして
波頭は崩れる音を立ててこわれる

*アナウンス

横の流れ
プラットフォームに警笛が鳴り
いつものように銀色が流れ込み
灯台は轢かれて消えた



自由詩 初夏の Copyright 水町綜助 2007-06-14 09:40:25
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