割れた裸電球のその後
麻生ゆり

裸電球が
割れてしまった
大事に大事にしてたのに
音もたてず
たださらさらと
割れてしまった
治るのだろうか?
否 治らない
治らないのだろうか
否 治る
だから電気だけは灯るので
私はそれをしばらく眺めていた
そのうち1匹の蛾が寄ってきたけれど
フィラメントに触れた瞬間
焼け死んでしまった
そしてひらひらと蛾は畳に落ちた
私はその死体を
静かにそっと拾うと
外に出て
地面に埋葬した
偽善? 偽悪?
それらを止揚したところで
何にもならないけれど
私は
気がついたら
笑い続けていた
雨が降る中を
ただ 笑い続けていた
なんて幸せであることか!


自由詩 割れた裸電球のその後 Copyright 麻生ゆり 2007-06-13 21:46:46
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