白い病室
あずみの

部屋の机の上に飾られた写真立てに
うっすらと積もった埃をなぞって
ここで過ごした時の長さを思った

写真の中の笑顔はそのままに
もうずいぶんと遠くに来てしまったような
そんな気がして胸が締め付けられて

午後の柔らかなひかりに満ちた病室は
他人行儀な清潔さで
どこかわたしの存在を拒む

ここを通り過ぎていった幾人もの
顔を思い浮かべて
もう名前も忘れてしまった彼らの
今を思ってわたしはひとり
白い窓辺で祈りを捧げた


自由詩 白い病室 Copyright あずみの 2007-06-12 11:40:46
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