犀川
服部 剛
犀川の
芝生の土手に腰を下ろし
静かな流れをみつめていた
午後の日のきらめく水面には
空気が入ってふくらんだ
ビニール袋が浮いていた
近くで
ぴちゃりと魚が
跳ねた
背後の芝に
太った鳩が
舞い降りた
午後の陽は雲に覆われ
神社の宮の一番奥に祀られた
まあるい銀のひかりになった
日常の疲れた自分を
遠くの街に置いてきた
旅先の川のほとり
澄んだ空気を大きく吸って
開いた本は芝生にのせ
わたしは そっと 両手をあわす
自由詩
犀川
Copyright
服部 剛
2007-06-12 09:42:56
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