キャスター(ワンカートン)
太陽の獣

火種が落ちたキャスターを
未練たらしくまだ指先で挟んでいる
甘ったるい味と匂いも
灰のそれしか残っていないと
上手く出来た脳ミソは分かっている
でも、ついつい確かめてしまう

そろそろ捨てようか
灰皿に捨てるのはもったいないなと
灰にちなんで肺に捨てると
はい、お見事
けれど胃じゃないから消化は出来ないみたいだ

手持ち無沙汰は落ち着かないから
残り少ない箱の中身を
慣れた仕草で一本取り出す

口にくわえて火をつける
慣れたものだな


ああ、落ち着くよ

体に悪いことぐらい
上手く出来た脳ミソは分かっている



自由詩 キャスター(ワンカートン) Copyright 太陽の獣 2007-06-11 19:13:44
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