傾く
唐草フウ


なくし物を忘れることと
さがし物を思い出すのは
どこか似ている
これでおわりかもしれないことが

毎日たくさん響きあっていると知って

目の中だけにある見えない雪に溺れた、溺れそう、溺れていた
 

時々に、雨。
鳥は美しすぎるさえずりに
しびれを切らして 電車の笛になる
時々に、嫁ぐ日
艶かしく想ったりするとダメだ
うずくまって動けない

初夏のコバルト
風吹いて
いのちは出かかっている
にじみを足すには 水の人を落して
昨日より以前が夢のようなここで
少しずつ手繰ったり
バラ撒いたりしている



自由詩 傾く Copyright 唐草フウ 2007-06-11 05:31:49
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