傾く
唐草フウ
なくし物を忘れることと
さがし物を思い出すのは
どこか似ている
これでおわりかもしれないことが
毎日たくさん響きあっていると知って
目の中だけにある見えない雪に溺れた、溺れそう、溺れていた
時々に、雨。
鳥は美しすぎるさえずりに
しびれを切らして 電車の笛になる
時々に、嫁ぐ日
艶かしく想ったりするとダメだ
うずくまって動けない
初夏のコバルト
風吹いて
いのちは出かかっている
にじみを足すには 水の人を落して
昨日より以前が夢のようなここで
少しずつ手繰ったり
バラ撒いたりしている