第二次アイデンティティは深い
doon
目を閉じた
これを暗いというのか
はたまた白いというのか
自分にはどちらでもいい
見えるのだ
この目が
何気なく人間は手を動かせられる
何気なく呼吸し
何気なく生きて
夢に、人に、僕らは生きていく
そういう生き方もいい
全てに生き方があるなら、呼吸するだけの生き方さえ認めよう
僕の第一次アイデンティティはそうやって終わった
何気なく人間は手を動かせられる
動けと 誰も言わない
動かなきゃ 思ったよりもすでに、もしくはすぐに
手は動いている
私達はもとから言葉で動く生き物じゃなかった
と同じくして
言葉で縛られる生き物でもなかった
心臓の音もまた然り
止まれといって止まるような奴じゃない
言葉は付録
付き添い
表現
表し
それだ
そうしてまた目を閉じた
一枚絵なのか
二次元
もっと遠い次元なのか
この目が見ているもののすべて
この目を見ているもののすべて
(目の前には私は居るのだろうか?)
「鏡よ」
「何故私をこの姿で映すのですか」
【あなたはあなたです】
「この目はどうして私なのですか」
【あなただからです】
違う!
私自身を私と至らしめ、認めるのは
私だけだから
だめだ!
そういうことを知りたいんじゃない
【微細な電子が眼球内で信号を伝え、それらを見せているに過ぎません】
違うんだ!
「どうして私は【僕は】、私はここで見ているのかを聞いているんだ!」
私という人間は
雑作もなくまた目を閉じた
それを、マバタキと言う
ここに見える景色から必死に堪えることを覚えて
探して ――まだどこかに、あるって信じて
切り取られる景色の片隅にまで目を凝らし
私はここに居る
どうして私がこの瞬間にここに居るのかを、確固たる意志で問う
そして
最初の自己同一性が 揺れる 縮む
生命のベクトルとは違う
確執のベクトル
私の知りたいもう一つの、言わば真正アイデンティティは
マリアナのさらに奥で
今も眠っている
私は目を閉じた
これを暗いというのか
はたまた白いというのか
自分にはどちらでもいい
見えるのだ
この目が
今の私と決して解き離れることも無く
もう一度私は歩みを原点に返す
第一次の自己同一性から
私が探そうとしている
[それ]
を
掴もうとする
私が
何処かへ行ってしまわないように引き留めながら