アメンボの土曜日
青の詩人
なにもない場所をわたっていく
すーいすーいとわたっていく
今しも水面下では熾烈な争いが
繰り広げられていることも知らずに
アメンボだからしょうがねぇや
濃いも薄いもオレにはわかんねぇ
わかりたくもねぇ
いや
わかりたくはあるのだけれど
その争いが ここ以上に
表面的な気がしてならねぇ
てめぇら本気で息止めて生きてるのかよ?
エラ呼吸だから楽なんだろう どうせ
そんなことぼやきながらわたっていく
すーいすーいとわたっていたら
いつのまにかひとりぼっちになっていた
むしろひとりを探していた
バンプオブチキンの猫のように
でもオレにはオレのためだけに死んでくれるような
絵描きは現れそうもねぇ
それもどっか違う気がするしな
その関係がうらやましくはあるけど
そんなことぼやきながら
すーいすーいとわたっていたら
いつのまにかひとりぼっちになっていた
むしろひとりを探していた
本音が語れないならひとりでいいよ
それができない糸なんかわずらわしいだけだろ
お前らがオレより本音を語っていようがいまいが
ひとつ気づいたことがあるよ
ここはオレしか生きれない場所らしい
そんなことぼやきながら
すーいすーいとわたっていたら
いつのまにか空へたどり着いた
今日の雲がすごく綺麗だったんだ
そのふわふわが水たまりに映る
空を飛ぶ
なんかそれだけで
救われた気がした
雨の土曜日
そんなことぼやきながら
すーいすーいとわたっていける気がした
なにもなくとも
なにはなくとも