別れの言葉
夢幻

君は理解していない。
人と別れるということを。
私と別れるということを。

そうやって無邪気に笑って、手を振って。
さよならを言うだけで良いと思っている。

やがて沈みゆくあの太陽と同じように
明日も再び会えると確信してしまっている。

現在いまにも音をたてて崩れてしまいそうな平和に
満足し、安心して、溺れきってしまっている。

君を見送る私の心は
こんなにも不安でしくて堪らないのに。

君の無知な心は残酷。
君の疑心無き心は残酷。

どうか、どうか。
今日は背中合わせになる前に
二人を約束で繋いでおこう。

いつかまた会いましょう、と。
私はあなたを忘れません、と。
再会するまで忘れません、と。

言葉を紡いで確かなものにして。
私が明日も生きてゆけるように。
君の心が遠く離れてしまわないように。

やがて沈みゆく太陽と同じように
この別れが永遠でないことを祈って。


約束しよう。
それはとても儚いものかもしれないけれど。


自由詩 別れの言葉 Copyright 夢幻 2007-06-09 10:44:13
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