「黄昏る」
ベンジャミン


すべての生きものに終わりがあるように
今日という日が暮れてゆく


プラスチックの透明感が
美しいと感じられない
 
 空っぽのペットボトルを
 赤く染まった空に透かし
 屈折する光を瞳に浮かべ
 眩しさに驚くふりをする


無機質な感覚にとらわれそうなとき
自分の命の儚さを
あなたは知ることができるだろうか

刻々と変化してゆくあらゆる現象の中
自分の命があらわすものを
あなたは伝えることができるだろうか


銀色のアルミ箔をやぶって
白い錠剤を飲み込む

 やわらいでゆく痛みは
 人としての病だろうか
 もしかしたら他の何か
 心の中に棲みついた病


すべての存在に理由があるように
今日という日が始まる

それでも
僕は黄昏る

始まりも終わりもない世界で
ただ

自分の命を見つめている

すべての生きものに終わりがあり
すべての存在に理由があるように

僕は黄昏る
始まりも終わりもない世界で

自分の命の儚さを
伝えようとしてしまう



        
     


自由詩 「黄昏る」 Copyright ベンジャミン 2007-06-09 06:50:15
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