終着の浜辺で
いねむり猫



終着の浜辺
そこで未来が終わる場所
たどり着いた人々は 待っている

時の呼吸が止まる予感

心地良く吹く海風が
凪ぐように

たくさんの思い出と祈りが
もはや何処へも流れることなく
降り積もるだけの場所

一つの祈りが 長い時を経て 
かなえられる奇跡は 絶えて

人々の命の連鎖が  
新たな混沌の扉を開く臨界点は 
マトリックスに封じられている

熱の死 いつまでも続く白夜

終着の浜辺で 
風の吹く方向へ顔を向け
引き潮に取り残された 潮溜まりの緩慢な死を待つ

心を打ち抜かれて ただ目を開いて立っているだけの
私のかたわらに 立ち止まる人影
その顔を見ることはできない

でも
風に乱れた髪をかきあげるしぐさと香が
あなたであると ぼんやり確信する

触れ合うことのできない二人が
時の風が止まるのを待っている 



自由詩 終着の浜辺で Copyright いねむり猫 2007-06-09 00:44:48
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