望み
ふるる

首を傾けたまま
縫い針を
炎で焼いて
縫いました

ひと針
ふた針

み針目で
あなたは目を覚まし

俺の目を縫いとめるのは誰だ

と申します

私は器用に玉結びをした後で

わたくしです

と答えます

ああ、お前ならばよい

とあなた

わたくしならば
その両目を
縫い針で塞いでも
あなたは不自由なしなのでしょうか

わたくしの肩に手を置いて
おなじう道を永遠にゆく

それがあなたの望みなら

わたくしの涙を拳に溜めて
おなじう血を永遠に飲む

それがあなたの望みなら

その両目を
縫い針で塞いでも
あなたは不自由なしなのでしょうか

これでよい
見えぬ方がよい

あなたは申します

わたくしとあなた
並ぶ姿は
自分たちでさえも

見てはならぬものなのです

さあ

次は

手探りで
縫い針を
炎で焼いて

わたくしの頬に触れ

わたくしの両目を塞いで下さい


自由詩 望み Copyright ふるる 2007-06-08 16:47:53
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