海賊の星は墜ち
まどろむ海月






夜の闇の 
海の 曲
無辺の潮が 
樹々を揺らす
光は踊りを忘れ 
抱かれる胸を喪った
荒れる雨も風も 
行方を知らず
破れた帆船は
宙空を彷徨う


 散乱する
 海図と財宝
 羅針盤と
 ラム酒の樽が
 転がっている
 乗組員は死霊と成りはて
 天頂の星陰に憧れは輝かず
 海賊王の孤独な眼に
 ネバーランドは無い
 白梟の化身も
 蘭の妖精も
 訪れない
 揺れる籠の鸚鵡は
 その名を繰り返すが
 降天使なる姫への
 恋文の束は
 虚しく
 ほころびたまま
 さらっていく島が無い
 何処にも無い


無窮の静寂は
深まるばかり
鎮まれ鎮まれ
船ではなく君の星が
漆黒に墜ちていく
限りなく
限りなく
墜ちて
いく





 闇の雫の中で
 彩られた宴を
 舞いはじめた
 光たちの
 夢を見た





  春だね
  あの空に
  新しい星々が
  訪れはじめた
  気がする















自由詩 海賊の星は墜ち Copyright まどろむ海月 2007-06-08 12:19:22
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