緑と金 Ⅱ
木立 悟
小さな影に
小さな水が触れ
小さな手のひらのかたちとなり
雨の木陰に結ばれてゆく
風を後ろに
花はひらく
ひろく けむる
ひとつ ゆれる
野に落ちる光
川に立つ火柱
左の胸に 左目に
傾いてゆく息と火照り
霧が霧を降りてゆく日に
緑は空へ少しふくらむ
曇を照らす手
ふかみどりの手
道の上の暗い円を
音だけが泳ぎつづけている
粒のひとつひとつを確かめながら
映る空をかきわけてゆく
斜面の緑から緑へと
手わたされては昇る羽
頂に着き 頂を揺らし
去りゆく雨を金に染める
自由詩
緑と金 Ⅱ
Copyright
木立 悟
2007-06-07 01:58:01