薪 (たきぎ)
こしごえ
朝日影にふくまれた わたくしの陰影が
ありのままの白い骨格で
よるべなく
この家に嫁いで来たのです。
その
わたくしが、
わたくしであるが故に、
わたくしを焼べねばなりません。
それは、己だけのもの、か
この灰は古の重さで大空へしずまるのだから
胎内の
底知れぬ空洞が
ひんやりとうずきにじむ。
奥のほうはトーンのまだらな
青青とした雑木林を
仄暗い目差で見ていたんだ。
陽炎の去る羽音へ
帰れない
初夏の日差しの中で
いつまでも
届かずに立ち暗み
宙へ手を
うっすらとうつむき
自らを焼くことのできない火のかわりに
燃えつづける 半透明な泉