モノクロの喧騒
あずみの

世界が急速に色褪せて

景色はぼんやりと滲んで

過去と現実の境界は曖昧で

夢と現は混濁する



浮かび上がる記憶の断片だけが

鮮やかに色付いて

現れる端からこころの海に沈み

黒い水に絵の具は溶けて

記憶の線画だけが廃棄物のように

わたしの中に重く降り積もる



わたしは次第に感覚を失って記憶を失って

色を失って形を失って

指の先から空気に溶けて

存在そのものが曖昧に



世界だけはわたしの外で賑やかで鮮やかで


自由詩 モノクロの喧騒 Copyright あずみの 2007-06-06 09:59:55
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