月の朝(あした)
リーフレイン
ー盲目ー
まだ陽の上らぬ未明の朝
風紋が鮮やかに浮き出る灰色の砂丘を
暁の月へとむかう 黒烏
凄絶な月の海に至る道は
煌々と白い光に照らされて
泥だらけの足で踏みこんではいけない
ー失語ー
可聴できない月光の音が
砂の上に紋を刻んでゆく
あれは風ではなかった
月がしたたり落ちて
発話できない言葉を残していった
波打ち際で繰り返し
ぼろぼろの足を洗い
爪の間流れる水ひりひりと
ようやく満足のいく足で
道 踏み出そうとすれば もうそこに
赤黒く染み込んだ穢れを見つけ途方にくれる
ー手無しー
杖持たぬ犬 月の朝 烏が鳴いた
そら 空 ソラ!