眩しいけど悲しいもの
キリエ

彼は私にもう会えないといった
理由も聞かずに
いや
聞くことも出来ずに立ち尽す
彼が背を向けて
私はただその後ろ姿を見つめていた
それは昼下がりで
太陽が眩しくて
でも目を逸らすことが出来なかった

あぁ、いつの間にか日が沈む
日が沈む前のほんのひと時
夕焼けは優しく私に微笑んでくる

彼が背を向けた時
私はただ自分の手を握り締めて
体はぶるぶると震えていたのに
泣かなかった
いや
泣けなかった

夕焼けは優しく私に微笑んでくる
私の目からは
氷が溶けたように
水が流れ落ちる

夕焼けが目に沁みただけ
私の心は泣いてなんかいないわ

でも
日が沈むほんのひと時だけ
夕焼けは
優しい光は
私に泣くことを
許してくれた

眩しくて優しくて
でも
どこか悲しい光


自由詩 眩しいけど悲しいもの Copyright キリエ 2007-06-05 00:08:51
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