ノート(おもい おもい)
木立 悟



口に重い想いをひとつ
あなたの口に移しても
もっともっとと欲しがりつづけて
想いは軽くなるばかり
想いは薄くなるばかり


あなたが書くものが詩であるなら
わたしが書くものは詩ではない
けれどもわたしが書くものが詩でも
あなたの書くものは詩であるという


それなら
わたしは
いなくてもいい


あなたが書くものが百年読まれて
そのあとでわたしが一年読まれて
そして人が滅びるのだとしても
わたしのせいにしないでほしい


あなたのなかのよどんだものを
わたしのなかに移しても
もっともっとと移したがるので
わたしは重くなるばかり
わたしはどうでもよくなるばかり


つづいてゆくのは
あなたとあなた
どこまでもおなじ
あなたとあなた


それなら
わたしは
いなくてもいい











未詩・独白 ノート(おもい おもい) Copyright 木立 悟 2007-06-04 21:17:57
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
ノート