誰彼
し ん
揺らんでいる暮れが
恋人の宵に口づけを落とし
昼間に日干しした布団へ
滑らかに泳ぐよう沈んだ
暮れが眠りについた頃
隣人の顔が宵色に照らされ
誰?と問えば
無言で言葉が返る
青白さが指に絡まれば
吸い込まれるように
つま先で水面の音階をなぞり
そのまま水中へ上がってゆく
魚が啼きながら宵を飛び
煌々ときらめく銀水晶
垂れ落ちる雫は
笑い喘ぐ月が舐めとる
いつの間にか青白さが
僕と僕に重なりあい
そのまま宵の空に
溶け込んで、溶け込んで、溶け込んで、、
自由詩
誰彼
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し ん
2007-06-04 20:34:45
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