少し、好きになりました
なかがわひろか

少し、好きになりました

雨上がりの水溜りに
顔を映して
笑ったり、怒ったりしているあなたを見て

少し、好きになりました

煌々と照る月明かりの下で
自分の影を一生懸命に
追いかけているあなたを見て

少し、好きになりました

首吊り桜の木の下で
大きな口を開けて
桜の花びらが舞い込んでくるのを待つ
あなたを見て

少し、好きになりました

毎晩眠る前に
宇宙に続く入り口の
鍵を何度も確認するあなたを見て

少し、好きになりました

夜と朝と昼が一緒に来たら
どんな色になるだろうと
そんな風に言うあなたを

いつしか私は

好きになっていました

(「少し、好きになりました」)


自由詩 少し、好きになりました Copyright なかがわひろか 2007-06-04 16:14:42
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