断片的で暗示的な精神内での印象達
はじめ
雨が決して止まない学校の教室
曜日は無い暗い廊下の突き当たりに集まって怪談話をしている
この空間は永遠だ
無限に続く5分休み 僕らの後ろに先生はいない
教卓やテストのプリント用紙に暖かみを感じる
あの悪ガキ達もいない
この雰囲気のひんやりしているリノリウムの廊下なら何処までも突っ走っていけそうだ
突っ走っていったら放課後になっていた
僕は何故か中庭の扉の鍵がちゃんと閉まっているのか気になった
用務員のおじさんの左手の薬指は何処へ行ったの?
降り注ぐ闇 多目的教室 寄り掛かっているトイレの扉
僕は天まで届く大樹に記憶を刻み込む
腹の膨らんだ蛇 校内放送のかかっている図書室
ペンチで傷つけたボイラー室
薬品の匂いが蒼い背骨と世界に浸透する理科室
早朝のグラウンドの水滴の沢山ついた芝生
家までの道のりが開けてく
昇り来る太陽と 校庭の地球
光を浴びて大の字になる
たなびく校旗 軽くなった卒業アルバム
いかれた時計
詩にすることのできなかった言葉達を持っていた僕は屋根の上から何を見ていたのだろう
飽きない風景 そこから僕は何を汲み取っていたのだろう
足元の水溜まりが気になってびしょびしょに濡れた足を引き上げる
シーツカバーの匂いが気に入らない素っ気ない保健室からサッカーの授業を見る
同級生達の眩しい姿
飾り気の無い校長不在の校長室
蛇口を全て捻って水の中に沈ませる
そこでは全てが神秘的に見える
校旗のポールだけが水面から顔を出している
水が引いた後に中庭に咲く桜 花弁が思い出させるよ 校内に飛び散る
誰もいない学校 逢えるのは来年の春頃か
最後に階段を上がっていって 一番心が安まる大量の机と椅子が山積みされている音楽室に入る
僕はそこで窓を開けてトランペットを弾く