親和する朝、の
霜天

雨の、話など誰もしていないのに
空が溶けてきたねとあなたが言う
気が付けば隣で誰かが溶け始めていて
手紙に残された文字が一人、笑っている

手のひらは繋ぐためにあって
思えばそんな場所ばかりが溶け残っている気がして
空に浮かぶ手と手、公園に手と手
繰り返し朝に向かう世界で
それらは少しずつ蓄積される
水溜まる空を僕だけが飛ぶ
あなたは昨日、溶けてしまったので
触れる雫は少しずつ、拾い集められていく


適合する、朝
おはよう
それだけで全てが進行していく
そこまでの物語は親和して、答えて
あなたの溜まる世界の底で
再構築されていく

溶けゆく誰かの手のひらで、掬われた誰かが


溶けた体を引き摺って
それでも押し出されていく
手のひらはいつも誰かのためで
進む道にも代わりはいない
凍えた季節もいつかは並べて
親和する朝に戻されていく


自由詩 親和する朝、の Copyright 霜天 2007-06-04 01:53:16
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