沼の底
ユキムラ

いつも見ていた。僕を知らない、君の後ろ姿。

ずっと前から知っている様な気がするのに、今の僕は君の事を何も知らない。

いっそ、話しかけてみようか。





だめだめ  むりだよ  そんなこと できやしない

だって じぶんを よく みてみなよ

おまえは そこから うごけない

ぬけだせない

でられたとき  あのひとは もう いない





赤い沼の底から、幾重にも重なる声が響いて、痛い程に僕を絞め付ける。

何かが僕に絡み付き、ゆっくりと首を絞め上げてゆく。




この儘、沈んでしまおうか。そうしたらもう、苦しまなくても済む。







・・・・・・ふと、誰かの声が聞こえた気がした。



けれど僕にはもう、息が出来ない・・・・・・


自由詩 沼の底 Copyright ユキムラ 2007-06-03 23:31:51
notebook Home 戻る  過去 未来