スケッチ
たもつ

お父さんが紙をつくってる
つくった紙を僕が並べていく
それがお父さんの廊下
なんだか淋しいところだね、と言うと
お父さんは土を持ってくる
足りないので
何回かに分けて持ってくる
だからお父さんは小さくなって
草花のように何も言わない
そのまま海まで連れて行きたかったのだろうか
貝殻が少し残ってまだ温かい
窓からパン粉工場が見える
お父さん、向こうの空にかかってるのは
虹じゃないよ
あれは陸橋
人がつくった
希望に似てるけど
石の砕いたものや鉄で出来ていて
絶望とも違う
お父さんは頷きながら
それらの景色を指差して
スケッチ
と呼ぶ


自由詩 スケッチ Copyright たもつ 2007-06-03 22:22:44
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