橋の上にて
灯和

 焼きたてのロンドン焼きを手に
 あなたと歩く四条通りは、
 日曜日の人の多さでさえ
 気にならないほど眩しく見える


 京都の空は意外と濁っていて
 千切れた雲が小さく揺れる
 今日は曇っているからね
 空が近い 私に向かって降りてくるの。


 あなたはいつもはぐらかす
 笑顔の向こうに隠したものに
 いつか触れるのだろうか
 眼鏡の奥には何が映るの


 人の波に流されていても
 この手を繋げば大丈夫でしょう?
 だから、離さないで ね。
 ロンドン焼きひとつ分の
 ささやかな甘い熱と引き換えに。


未詩・独白 橋の上にて Copyright 灯和 2007-06-03 22:15:00
notebook Home 戻る