石と米と月の色
麻生ゆり

 庭にあった軽石が
 私に話してくれました
 「私はほとんど変わらない
  雨が私を穿っても
  風が私を削っても
  私はわずかに欠けるだけ
  欠け続けながら今にいる」
 人も案外そんなもん

 米びつの中の新米が
 私に語ってくれました
 「私はいろいろ姿を変える
  花であり実でありそして今
  私は飯になろうとしてる
  しかしその後の私の生は
  どうなるのやら解らない」
 人にもそんなの解らない

 窓からのぞく満月が
 私に教えてくれました
 「私は絶えず変化する
  時には全てが満ち足りて
  時にはまったく何もない
  しかし止まらず変わっても
  そこに私はあり続ける」
 人もそれならいいけれど


自由詩 石と米と月の色 Copyright 麻生ゆり 2007-06-03 14:12:45
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