座禅を組む
いねむり猫


下を覗くことも恐ろしい崖の淵で
座禅を組む

丸裸になって 下半身も丸出しで
座禅を組む

胸を張ると そのまま崖下へ転落してしまう
その恐怖の中で なお胸を張って
座禅を組む

体の回り 360度に気配を感じ
視覚へのこだわりが悲しくなる

何も守ることができない
自分の芥子粒の
はかなさを
小ささを

強い風が一瞬吹くだけで
私は終わり
世界は何一つ変わらない

私の思いが
何の価値もつながりも生まないと
そう噛み締めてもなお
湧き上がる思い 
自分を中心に 拡散する思いをかき集める
そのような生のあり方に縛られていること
そのような生の価値を問うことのズレ

この全身に感じる風の強さ
しりの下の岩が示す私の重さ
私の軽さと世界と重なる重さと
一瞬一瞬尽きる事の無い恐怖と甘い生

それだけで すべてだと



自由詩 座禅を組む Copyright いねむり猫 2007-06-03 10:43:15
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