日々ノ契約
服部 剛
「 この世の外なら何処へでも ! 」
という最後の詩句を読んだわたしは
「 転居先 」について考えていたが
そんな場所は、何処にも無かった。
日常から逃れるほどに
毎夜訪れ
わたしをすっぽり包む「 牢獄 」の暗闇
眠れぬ夜は羊より
若くして「 この世の外 」へ逝ってしまった
幾人かの友を指折り数える
暗闇に浮かぶ ? のみを残して
皆何処かへ、消えてしまった。
この牢獄の小窓からは
明日も光の剣が射すだろう
朝の気だるさを、貫くように。
机の上に置かれた
汚れた表紙の日記帳
灰色の日々を綴った
ノートの余白に描かれた
ひとつの手は
ひかりの小指を立てており
わたしは自らの小指を
その手と結んだ