夜の気配
いねむり猫

夜の気配に触れて
私の思いは
満点の星空へ解き放たれる

決してあなたの前では形にすることのない思いが
夜の冷気と慈愛の中
予期せぬ激しさで 身を起こす

果てしの無い天空に満ちた音楽と
細く研ぎ澄まされた思いが 刹那に共鳴して
星空の中に振り撒かれていく

あなたの眠る方角 オリオンへ旅立つのなら
あなたの唇のやさしい弧が 小熊座の中で遊ぶなら
あなたの華やいだ声が ペテルギウスの星辰に木霊するなら
あなたの美しいうでが シリウスへとさし伸ばされるなら

抜け殻になった私は 星の声に酔って 
彷徨を続けよう

私の思いがいつか 星空の旅からもどり
あなたの寝息がかかるシーツへと 降り積もっていくころ

夜の気配が ようやく私を満たして
浅い眠りをゆるしてくれる



自由詩 夜の気配 Copyright いねむり猫 2007-06-02 11:58:58
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