粘度
たもつ

帰宅する途中
コーンスープの匂いがする
家の前を通りかかる
中から男女の諍いの声が聞こえてくる
少年が一人
玄関の外に立っている
ドアにもたれてただうつむいている
どうかあの少年が
私ではありませんように
けれど私は知っていた
その足元に咲く花の
花びらの数を
誰も飲むことなく流しに捨てられた
スープの粘度も


自由詩 粘度 Copyright たもつ 2007-06-02 11:41:45
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